R-SUDとは

基本的な考え方

  • 使用済み単回使用医療機器(一回限り使用できることとされている医療機器。以下SUD)を医療機器製造販売業者がその責任のもとで適切に収集し、分解、洗浄、部品交換、再組立て、滅菌等の処理を行い、再び使用できるようにすることを「再製造」と定義しています
  • R-SUDによる製品を製造販売するには製造販売業の許可を必要とします
  • R-SUDはオリジナル品とは別の品目として承認を必要とします
  • R-SUDに係る医薬品医療機器法上の責任は再製造を行った製造販売業者が担います(オリジナル品の製販業者と必ずしも同一ではない )

対象となる医療機器

  • 国内の医療機関で使用されたSUDが対象です
  • 植込み型医療機器は対象外とします
  • 原則、使用成績評価期間中の新医療機器は再製造の対象になりません
  • 脳、脊髄、硬膜、脳神経節、脊髄神経節、網膜又は視神経に接触したもの、感染症法に定める感染症(一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症若しくは新感染症の患者)の治療、検査等に使用されたもの、最大再製造回数の再製造がなされたものは再製造に用いません

クラス分類・一般的名称

  • オリジナル品と同一クラス分類(ただし、クラスⅠの再製造品はクラスⅡとしての承認対象)
  • オリジナル品の一般的名称の冒頭に「再製造」の文字を追加したものとして新設

使用済みSUDの選別等

  • 医療機関で選別した上で破損、劣化、汚染が生じないように他の使用済み医療機器と区分して保管、運搬します
  • 使用した医療機関の名称及び所在地、収集年月日、選別の確認結果等の記録を保管します

設計・製造

  • オリジナル品と同等の品質、有効性及び安全性を有するよう設計、再製造します
  • 原料となる使用済みSUDを、妥当性が確認されている方法により、病原微生物その他疾病の原因となるものが不活化又は除去されるよう再製造します
  • 再製造SUDにシリアル番号等を付与し、再生部品、製造、流通のトレーサビリティを確保シリアル番号等は、本体に表示します 

規制・制度

R-SUDにおける米国、欧州、日本の歩み

米国
1999年 米国会計検査院(GAO)が単回使用医療機器(以下SUD)の院内再処理について安全性を懸念、米国食品医薬品局(FDA)が規制すべきという勧告を提出
2000年 GAOの勧告を受けてFDAはSUDの院内再滅菌を原則禁止
FDAはR-SUDのガイダンスを整備
2001年 R-SUDの医療機器承認を義務化。オリジナル品に必要な市販前認可「FDA 510(k)」に加えてR-SUD独自の基準を定める
小規模のR-SUD企業の合併が始まる
2008年 GAOよりR-SUDはオリジナル品と同等に安全であるとの報告が行われる

 

欧州
2002年 ドイツがR-SUDにKRINKO勧告による基準を設け、事業を開始
2010年 EUの政策執行機関の欧州委員会(EC)が「規制されていない再処理/再製造医療機器のリスク」についての報告書を提出
2016年 R-SUDに関するEUの統一規則が決定
イギリスでR-SUDのガイドラインを公表、医療機器としての「認証」が必要となる
2017年 EUでSUD再製造に係る規制を含む「医療機器規則(MDR)」を公布

 

日本
2001年 厚生労働省がSUDの再使用禁止を通知
2004年 2月9日付「単回使用医療用具に関する取り扱いについて」(厚生労働省の通知による注意喚起)
2007年 3月30日付「医療機器に係る安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について」(厚生労働省の通知による注意喚起)
2014年 医療機関においてSUDの血管接合器具などが、約2300人の患者に再使用された可能性があると報道
6月19日付「単回使用医療機器(医療用具)の取り扱い等の再周知について」(厚生労働省の通知による注意喚起)
2015年 医療機関においてSUDの神経生理電極(EP)カテーテルが院内滅菌され約300人の患者に再使用された可能性があると報道
厚生労働科学研究費補助金・厚生労働科学研究事業の「単回使用医療機器(SUD)の再製造に関する研究」研究班が設立され研究がスタート
8月27日付「単回使用医療機器(医療用具)の取り扱い等の再周知について」(厚生労働省の通知による注意喚起)
2016年 「単回使用医療機器(SUD)の再製造に関する研究」が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)委託研究に引き継がれる
2017年 厚生労働省「単回使用医療機器(SUD)再製造制度」が施行
9月21日付「単回使用医療機器の取扱いの再周知及び医療機器に係る医療安全等の徹底について」(厚生労働省の通知による注意喚起)
2018年 単回医療機器再製造推進協議会(JRSA)発足
2019年 8月30日付 国内初の再製造品が承認される
2024年 令和6年度の診療報酬改定において再製造単回使用医療機器使用加算が設けられる